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中国東北部の農業の実態
中国東北部は中国の食糧の10%を生産する重要な穀倉地帯。トウモロコシは昔からの貴重な食料となっています。飛行機から見ると一面トウモロコシ畑です。現在PM2.5などを含む煤煙で日照が不足し生産量が減少しているそうですが、比較的被害のないこの東北部も影響が出始めているそうです。主力はとうもろこし(圧倒的に多い)と米(大連から丹東に至る日本海側に多い)、この地域はまさに中国の穀倉地帯として国家的に力を入れています。
2015年初夏の大連はアカシアの花が満開でした。アカシアの花は白とばかり思っていましたが、なんと紫もあるのです。例年5月下旬に「アカシア祭り」があるのですが、今年は開始日が帰国日と重なりお祭り自体は見れませんでしたが、満開の花を見ることができました。
大連の知人はみつばち業者さんから搾りたての蜂蜜を買うことができました。なんで買うのかと思ったら純度100%、スーパーのは砂糖を入れている可能性があるのだそうです。信用してませんね。それと農家を回った時農薬や肥料の写真を撮影して後で見たらびっくり、実は腐植酸を肥料として使っていたのです。腐植酸が野菜栽培に良いというのは聞いていますが、その理由は解明されていません。しかし今回実際に使ってるのを見てなるほどと思いました。中国東北部は肥沃な土地と言われていますが、それでも何かしらかの栄養分は必要です。それに使われているのが腐植酸だったわけですね。
中国人だって安全な食品を求めていることは間違いありません、そんなに心配してもすし屋やコンビニ弁当のガリは中国に依存しなければ価格的に合わない訳で、食べる時に捨てますか?
中国でも環境汚染の被害は出ています。
上海方面の田んぼではカドミウムだけでなく、ヒ素や水銀も多く、コメが汚染されているそうです。現地の人がトウモロコシの活性炭情報を見て打診してきましたが、なぜそんな有毒物質が田んぼに入ってくるのかと思ったら、チベットから水が流れてくる間にいろんな物質が一緒に流れてくるのだそうです。決して公害だけではないらしい。しかしカドミウムの吸収抑制にはトウモロコシの活性炭は効果があるが、ヒ素はイオンの関係で吸着できない。結局この話はなくなりました。 カドミ吸収抑制の実験事例 トウモロコシの活性炭を使って稲作でのカドミ吸収抑制の実験を2104年から3年連続で行っています。2014年のテスト時には前年のカドミウムの含有率を確認しておりませんでしたが、書類として残っていないそうですが、1.5ppmあったのだそうです。農家の方は半分以下になったということでしたが、国内基準にはまだまだほど遠い状態でした。そこで濃度を考慮して2015年は場所ごとに投入量を策定しました。
2014年の実験から2105年度の産学連携の事業を推進する「リエゾン岩手」の支援事業に採択されました。 | 赤の部分が前年より増加している。増えた要因は稲の根のはりが向上し、カドミウムの吸収が増えたと考えられます。2年の継続実験から用水路のある田んぼの上の部分の含有量が多いことから、農業用水に問題があるとみて実験しています。 |
測点平均では2014年の0.532ppmから0.438ppm(21%減少)にはなりましたが、国内基準値はクリアできていません。 カドミウムの含有量の国際基準は0.2ppm、国内基準は0.4ppmです。もし国際基準値を国内で採用すると一説には30万tの食べられないカドミ汚染米が出ることになるのだそうです。 2016年、農業用水に着目したカドミウム吸収抑制実験
実験圃場の土に含まれるカドミウムを深さ別に分析しました。当然下に行くほど含有量は多くなる。 | ||
過去二回の実験で用水路がある左側の含有量が多かったことから、農業用水にカドミウムが含まれているならば、その農業用水のカドミを吸着させて稲の吸収を抑えるという仮説を立てて実験しました。 |
カドミ吸収抑制の実験をした背景には稲作にトウモロコシの活性炭を使うことで茎が丈夫になれば台風などの強風被害が防げるという実験から始まりました。この年は残念ながら台風が来ませんでしたが、翌年の福島の原発事故が発生したときにセシウムの吸着の比較を行ったところ入れなかったところより少なかったことがわかり、カドミウムの吸収も抑えられるという仮説から始まったものです。 カドミウム吸収抑制のもとになった岩手県花泉での実験、翌年福島県の原発事故が発生。
実験の圃場は1枚5aです | 収量の比較をするため圃場ごとに天日干しをするという手間をかけています | 予想通りトウモロコシの活性炭が入った場所は収量が23%以上増加した |
根のはりが活性炭が入ったてるものと入らないもので違いが出ています。更に収量の比較においても23%から27%も増加するという結果になっています。