稲作に於けるカドミウム吸収低減プロジェクト

このプロジェクトはトウモロコシの活性炭(CC炭)がカドミウム(Cd)の吸着に優れているという研究報告から、カドミウム汚染のコメを耕作する農家様の支援につながることを目的として始めたものです。2014年度から2020年度の7年間の実績から改善策を見出すことができました。 実験開始前の2013年度におけるコメのCd含有量は1.5ppmという国内出荷基準の0.4ppmを大幅に超過する値が報告されていた圃場でしたが、トウモロコシの活性炭(CC炭)を使った実験と検証の末に2016年、2017年度は国内出荷基準をクリアする事が出来ました。 なおこのプロジェクトは2015年度の「いわて産学連携推進協議会」(リエゾン-Ⅰ)の補助事業に採択されました。
速報 カドミウム吸収低減プロジェクト 2021年度
2021年度の結果が出ましたので速報でお知らせします。
カドミウム吸収低減プロジェクト 2020年度
前年(2019年)田んぼにトウモロコシの活性炭を坪当たり2ℓ入れても大幅に基準値を超えたので今年はあえて取水口のみに活性炭を設置しただけにしました。 8月 1日 田んぼに水を投入してカドミ吸収を抑制する対策をしていました。去年より水量が多かったですね。カドミの量が少なかったのは夏場の農業用水の量が重要だったかもしれません。 8月23日 まだ入れていました。水温は低く、取水口付近の稲の葉は他に比べると青いです。
9月29日 サンプル籾採取
取水口に設置した活性炭もカドミウム吸着量の計測のために採取
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2020年度コメのカドミウム含有量検査結果
2020年実績 前年田んぼに入れても大幅に基準値を超えたので今年はあえて取水口のみに活性炭を設置しただけにしました。結果としてカドミウム含有量は前年比39%減少となりました。 (参考)2019年実績
取水口のみの設置で前年比39%減少の訳
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前年との違いは8月の開花時期に大量の水を田んぼに入れていることです。昨年は渇水で十分な水の投入ができなかったし、降水量も少なかった。これがカドミの増加につながったと推測されています。 今年は7月下旬から8月下旬まで水を入れていました。このことが取水口だけの設置でもカドミの吸収量が抑えられたと考えられます。来年はもう一度田んぼにも600リットル、坪当たり2リットルの投入を行う予定です。 |
7年間の実験の結果、降水量とカドミウムの濃度には明らかな相関が
取水口への設置と降水量およびカドミウム含有量の推移
過去5年間(2016年~2020年)田んぼの取水口に設置した活性炭のカドミウムの含有量は降水量に比例していることが判ります。 降水量が流れてくるカドミウムを濃くしたり薄めたりしている可能性が高いと言えます。