稲作に於けるカドミウム吸収低減プロジェクト
カドミウム吸収低減プロジェクト 2016年度
当初の予定では活性炭の投入量を大幅に増やしたので解消できると予想していましたが、予想を大幅に下回ってしまいました。様々な検討から用水路と何らかの関係があるのではと考え、2016年春に田んぼの土壌のカドミウム含有量の検査と、用水路に活性炭を設置し農業用水に含まれているカドミウム含有を検査しました。結果、かなりの量があることが判明し、田んぼの取水口に活性炭を設置するという新しい方法で実験を開始しました。着目点は途中で設置した活性炭のカドミウム量の変化でした。 2016年度 検査結果 2015年度に対してすべての場所で数値が下がっており、国内基準の0.40ppmもクリアされました。取水口に設置した今回の結果が最も効果があったと言えます。 過去一番含有量が多かったAの一列目も大幅に減少しました。単独で一袋を追加設置したことが影響したかもしれませんが、この単独設置した活性炭のカドミウム含有量は0.5ppmと取水口に追加設置したものと変わらなかったので、最初の活性炭の効果が大きかったと推測されます。(雪解け水が流入する時期の濃度が高いのではという推測も出来ます。) 課題として、一列目以外の場所の数値は前年比では一列目ほどではないことです。活性炭を入れなかったことが影響したのではと考えられます。結論として量の問題はともかくとしても、田んぼへの継続投入は必須と考えられます。 過去二回の実験結果から、2016年度は農業用水の影響を検証することにしました 4月23日 土採取と用水路に活性炭を設置 農業用水が問題ではないかと水源を調べたが、やはり鉱山があったところから流れている川の水を農業用水に使用しています。 深くなるほどカドミウムの含有量が多いという結果となりました。 しかし絶対的な量の差はないに等しい。 用水路に活性炭を設置 農業用水の可能性をテスト。気休めだが田んぼに入る水を浄化する手法をしてみました。今年は敢て活性炭を追加しません。左は4月23日設置、1ケ月後カドミウムの含有量を図るために活性炭を設置。 約一か月で6.5倍、6月9日に再設置した活性炭を9月5日に回収したものは0.04ppmから2.46ppmと61.5倍に増えていました 田んぼの取水口に活性炭を設置 田んぼの土に2.5ppm強のカドミウムが含まれているため、活性炭を入れたとしても吸収をどこまで抑えられるかは判断が難しい。最初上記の写真の量でしたが、一回目の用水路の検査から急きょ追加しました。一回目の物と二回目の物の設置期間は約20日間ですが、カドミウムの吸収量に大きな差が出ました。 一回目の物は0.04ppmが2.57ppmの64.25倍に対し、二回目の追加分はわずか0.50ppmと約半分の30倍という結果でした。 5月18日設置
下流の比較地に設置していた活性炭も回収 こちらは0.04ppmが1.20ppmに大幅増加 |
降水量の年度別比較
なお下流の実験地での活性炭のカドミウム含有量が1.20ppmと実験地に比べ半分以下であり、何らかの要因で減少しているものと考えられますが、今後の研究課題といえます。 この分野の研究は国や自治体に委ねることとします。 活性炭の投入時期は田んぼに引水するとき 田んぼに接した活性炭のカドミウムの含有量の変化が、一回目の物は0.04ppmが2.57ppmの64.25倍に対し、二回目の追加分はわずか0.50ppmと約半分の30倍という結果でした。このことは一回目の段階でかなりのカドミウムが流入したことを示しており、田んぼに水を張る初期段階から設置することが望ましいと考えられます。二回目の含有量が一回目に比べて非常に少なかったことがその理由です。 投入する量に関しては今後の課題ですが、面積により多くする必要があると考えられます。 もちろんすでに土壌に高度のカドミウムが存在しているわけであり、田んぼ全体に活性炭を散布することが必須です。土壌の含有量を検査したうえで投入量を判断することになりますが、最低でも一坪4リットル以上と考えられますが、収量も21%から27%ほど上昇するという実験結果もあり、コストの回収は可能と考えられます。